皆さまこんにちは!

App Consultantの香川です。
6月のWWDC2020で発表され、様々な話題をまきおこしたiOS14がいよいよ先週9/17に公開されました。

ほぼ同じタイミングで、App Store 審査ガイドラインが更新されています。
iOS14で搭載される機能に対応したポリシーも追加されています。
この記事では、その中でも以下の項目を解説しています。

本記事のサマリー

・iOS14注目の新機能App Clipsに、独自機能の実装は不可

・App Clipsに、広告の実装は不可

・IDFAを取得するためにインセンティブを付与するのは禁止

・アップデートバイナリにユーザーがアクセスできない記述を含めるのは禁止

これらのガイドラインを守らないと、ストア審査を通過できなくなってしまいます。

ガイドラインで定まっている内容を理解して、審査通過をスムーズにできるように対策をしましょう。

それでは、始めましょう!

iOS 14で新しく追加される機能

iOS14は、2020/9/16(日本時間)に公開されました。


iOSは、iPhone用の専用OSであり、iOS14はその最新バージョンです。


(iPadは、2019年までiOSを使用していましたが、2019/09/25(日本時間)から、iPad OS13がリリースされ、iPad専用のOSを使用しています。
iOS14リリースと同じタイミングで、iPad OS14もリリースされています。)

iOS14においての大きなトピックは、大きく3つだと言えます。

1.ウィジェット機能とホーム画面を自由にカスタマイズできるように

2.フルDLなしでアプリを利用体験できるApp Clips

3.IDFA取得がオプトアウト化(2021年初旬以降に延期)

これ以外にも、

・マップアプリの使いやすさ向上

・通話通知が画面の一部に表示されるようになる

・ピクチャインピクチャで、動画視聴をしながら他アプリを操作できる

・メッセージアプリの機能追加

などトピックは盛り沢山ですね!

その中でも今回は、デベロッパーやアプリ運営者の皆さんに影響の大きい

2.フルDLなしでアプリを利用体験できるApp Clips
3.IDFA取得がオプトアウト化(2021年初旬以降に延期)

について、App Storeのガイドラインがどのように変更されているのかを紹介していきます。

新しい内容 : App Clipsへの対応

App Clipsは、アプリの機能の一部を一時的に利用できるようにする機能です。アプリファイルを全てDLしなくても、アプリを利用することができます。

例えば、、、

・パン屋さんにランチを買いに行った時に、店舗アプリのApp Clipsを利用して、オンライン注文&決済をする。
・旅行で訪れたレジャー施設で、施設アプリのApp Clipsを利用して、空いているアトラクションを探したり、パレードの時間を確認する。

などの使い方が想定されています。


よりアプリを通じて、オンラインとオフラインが結びついていく使い方が想定されていることがわかります。

App Clipsの詳細について詳しく解説されている記事を紹介しますので、ぜひ参考にされてみてください。

さて、このApp Clips追加にあたって、Storeのガイドラインも新しい項目が追加されています。


App Clipsの開発・利用を考えている方は確認しておきましょう!

2.5.16 App Clips, widgets, extensions, and notifications should be related to the content and functionality of your app. Additionally, all App Clip features and functionality must be included in the main app binary. App Clips cannot contain advertising. 2.5.16 App Clip・ウィジェット・拡張機能・プッシュ通知は、アプリのコンテンツと機能に関連している必要があります。

さらに、すべてのApp Clipの機能と機能は、メインアプリのバイナリに含まれている必要があります。App Clipsに広告を含めることはできません。
(翻訳には、DeepLを使用。一部筆者改変。以下も同様)

重要なのは、主に3点です。


【1.App Clipsは、アプリ本体と関連のある内容である必要があります。
App Clipsは、あくまでアプリの1部です。アプリの機能の一部を利用できるように設計する必要があります。

2.すべてのApp Clipの機能と機能は、メインアプリのバイナリに含まれている必要があります。】
1と同じ内容ですが、少し技術的に気をつけるべき点です。
アプリ本体で利用できるコードをそのまま使用して、App Clipsは開発するようにしましょう。App Clips独自の機能は認めらておらず、審査リジェクトの理由になってしまいます。

3.App Clips に広告を含めることはできません。
アプリで広告を表示している場合、気を付けましょう。
アプリバイナリをそのまま使用する際に、広告表示に関連する要素が含まれていないか必ずチェックしましょう。

なお、この項目は、執筆時点(2020/09/25)では日本語版のガイドラインには反映されておらず、英語版のみに記述があります。



「日本語版のガイドラインに記述がないから」と言って、審査項目から免除されるわけではないので、審査でリジェクトを受けないように対応しましょう。

変更項目 : IDFA取得方式

iOS14アップデートで大きな混乱を引き起こしているのが、IDFA(広告識別子)の取得がオプトアウトになる点でしょう。


インパクトは大きく、Facebookが懸念を表明するアナウンスを出した上に、iOS14リリース約10日前に、来年に延期すると発表される異例の事態となっています。

2020/09/25時点では、IDFAはデフォルトで取得できるようになっていますが、App Storeガイドラインでは、オプトアウト化後のポリシーが記述されています。

アプリは、機能、コンテンツ、アプリの利用、またはギフトカードやコードなどに代表される報酬を受け取るために、ユーザーにアプリの評価、アプリのレビュー、動画の視聴、他のアプリのダウンロード、広告のタップ、トラッキングの有効化、またはその他の同様の行為を要求すべきではありません。

重要なのは、アプリは、機能、コンテンツ、アプリの利用、またはギフトカードやコードなどに代表される報酬を受け取るために、ユーザーに(中略)トラッキングの有効化(中略)を要求すべきではありません。

の部分です。
平たくいうと、 「アイテムあげるから、IDFAを許可してください」
「IDFA許可してくれると、この機能使えるよ」
「IDFA許可してくれないと、このアプリは利用できません」

などの設定をしてはいけないということです。
一部IDFA取得率を上げるために指摘されていた、IDFA取得許可にインセンティブを付与する形は禁止されました。


IDFA取得は、見返りなしの提案に同意してもらえた場合のみ可能ということになります。

こういった対策を実装していると、審査のリジェクトやアプリの削除といった措置を受ける可能性があります。
別の方策での取得率向上方法を考えましょう。

禁止項目 : ストアデータに記入できる項目の変更

App Storeでアプリを配布する場合、欠かせないのがASO(アプリストア 最適化)です。
アプリストアには、バイナリのアップロード以外にも、アプリを検索結果に表示しやすくするための検索アルゴリズム対策(SEO要素)、アプリを見つけたユーザーにより多くDLしてもらうための画面表示対策(CRO要素)などのための情報を入れることができます。

SEO要素では、アプリタイトルやキーワード
CRO要素では、アプリタイトル・アプリアイコン・スクリーンショット・アプリ説明文・・・

などがあります。

今回、ガイドライン改定でSEO要素にあたる部分に変更がありました。


審査の対象になる項目ですので、どんな変更があったのかをチェックをしていきましょう。

2.3.1(前略)All new features, functionality, and product changes must be described with specificity in the Notes for Review section of App Store Connect (generic descriptions will be rejected) and accessible for review.

(後略) すべての新機能、機能、製品の変更は、App Store Connectのレビュー用ノートに具体的に記述する必要があります(一般的な記述は却下されます)、また、レビューのためにアクセス可能である必要があります。

上記の内容が追記されています。

「バージョン変更によって、変更された要素が何かを詳しく書かないと審査通しません」

ということです。
どの程度詳しい記述が求められたり、どの程度の変更まで説明をしなければいけなかったりするのかは、現在判明していません。

ちょっとしたバグ要素の改修を複数行なったあとなどは、どこを変更したのか漏れてしまう可能性があります。
リジェクトされた際に、詳しく説明できるように準備はしておきましょう。


開発段階で、どこをどう変更したのかをメモするなど記録を残すようにしておくと安心ですよ。

また、このパートの冒頭には、 Don’t include any hidden, dormant, or undocumented features in your app; your app’s functionality should be clear to end users and App Review.

とあります。


つまり、アプリコンテンツでユーザーがアクセスできない状態になっている機能があってはいけない

ということが書かれています。
この中で注意しなければいけないのが、dormatも禁止されているという点です。


dormatは、「休眠」という意味で、つまり過去のバージョンで使用されていたが今回のバージョンでは使用されていないコンテンツ・機能のことです。

もし、アプリの中に「今は使ってないけど、今度使うかもしれない」と言って残している機能がある場合、リジェクトの対象となってしまうので、ストアにアップロードするバイナリからは削除するようにしましょう。


その時には、機能に関するコード記述を、バックアップに残しておくと再び実装する時にスムーズです。

まとめ

ここまでで、iOS14を受けて変更されたApp Storeガイドラインについて解説してきました。
ついつい見逃しがちな項目が追記されていますので、必ず対処をしてスムーズなストア審査通過を目指しましょう。

また、今回紹介しきれなかった変更点もあります。
審査でリジェクトを受けた場合などは、審査拒否理由の文章だけでなく、ガイドラインの該当項目も読んでみましょう。


具体的にどの部分がリジェクトの理由になっているのか、どのように変更すればいいのかを知ることができますよ。

iOS14リリースで、iPhoneでできることや表現の幅が、また一段広がりました。
ガイドラインを正しく守って、より豊かなアプリ体験を届けていけるように、ガイドラインの変更点はしっかり抑えていきましょう。

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