2020年の9月にリリースされた、iOS14でのアップデート内容についてご存知でしょうか?

iOS13までは主にSafariを始め一部ブラウザのみに適用されていたITP (Intelligence Tracking Prevention)によるクロスサイトトラッキングですが、iOS14からは全てのブラウザに対してデフォルトで適用されることになりました。

今回の記事では、現在のITPの仕様及び今回のアップデートによるネットワーク広告収益に対しての影響を考察していきます。

目次

  1. ITPとは?
  2. iOS14で具体的にどう変わったの?ネットワーク広告への影響は?
  3. アドテクベンダー各社の対応状況は?
  4. Webメディアが今後対策ひておくべきことは?
  5. まとめ
  6. 参考資料

ITPとは?

ITP(Intelligence Tracking Prevenetion)はAppleの主要ブラウザであるSafariを含むWebKitベースのブラウザにてクロスサイトトラッキングを防止する機能の名称です。

Appleはユーザーのプライバシーを尊重するという立場からこのITPの機能を徐々にアップデートしており、cookieやlocal storageを使って自ドメイン以外のドメイン上にてユーザーを追跡することを厳密に制限し始めています。

“ITP(Intelligent Tracking Prevention)とは”. デジタルマーケティングラボ.

https://dmlab.jp/words/e057.html

“Cookie規制にどう対応する? Cookieの仕組みからITPまでプライバシー対策を技術・法令面から解説”. Web担当者Forum.

https://webtan.impress.co.jp/e/2020/10/16/37598

この影響について、ネットワーク広告で収益を上げているwebメディアの観点から考察していきます。

上記のようにcookieの制限がされていく世界では、簡潔に言うと「ネットワーク広告収益が下がる可能性が高い」状況になります。

ネットワーク広告はcookieをベースにしてユーザーをターゲティングし広告を配信しています。そのため、cookieが使えなくなることによってターゲティングの精度が落ち、結果としてwebメディアに還元される単価(CPM)も低くなってしまうということです。

このように、ITPにおいてはユーザーのプライバシーをより安全に守れるというメリットがある一方、cookieの使用に制限がかかる結果ネットワーク広告からの収益が下がってしまうというメディアサイドから見た際のデメリットが存在しています。

iOS14で具体的にどう変わったの?ネットワーク広告への影響は?

ここからは、iOS14で「具体的に」どう変更があったのか、またその変更によるネットワーク広告収益への影響を解説していきます。

この変更内容を簡潔に言うと、「iOS14上でのウェブブラウジング全てにITPが適用されるようになった」ということです。

今まではあくまでSafari上での適用であったITPが、どのようなブラウザを使用しているかに関わらずiOS14以上のOSを使用しているユーザーにはITPが適用されるようになりました。

2020年11月時点でのSafariのブラウザのシェア率が59.3%と既に過半数以上を占めている日本においては、海外ほどの影響はないと考えられます。しかし、データを見ていくと着実にネットワーク広告収益に影響を与えていることが伺えます。

以下は実際に株式会社フォーエムのデータを元に作成したiOS14/iOS13/Android11のそれぞれにおけるGoogle AdExchangeのCPMの数字になります。

スクリーンショット 2021-01-04 14.48.58

Android11と比較するとiOS14とiOS13の間ではそこまで大きな差分はありませんが、それでも間違いなく単価が下がっていることが確認できました。

アドテクベンダー各社の対応状況は?

このような状況の中、今まで主に3rd party cookieをターゲティング方法として活用していたアドテクベンダー各社もそれぞれ対策を講じ始めています。

以下では各ベンダーが取り組んでいる「IDソリューション」について紹介させていただきます。

IDソリューションとは

そもそもIDソリューションとは

・消費者にコントロールを与えつつも、デバイスやチャネルを越えて広告の効果測定が可能になる新しい識別子

・cookieに依存しない

・ユニークを保証できる

というシステムになっており、今までのcookieでのターゲティングとは異なりログイン認証やメールアドレスといった業界横断で仕様できる識別子をベースとしたソリューションになっています。

cookieの代替として上記のIDを活用することによりユーザーを識別することが可能になり、今までと近似した形でターゲティングをオープンウェブでできるようにしよう、ということで各ベンダーがこのIDの構築を進めているのが現在の状況です。

現在ではThe Trade Deskが推進しているUnified IDやLiveRampのIdentityLink、Criteo IDやTeads IDといったように各社がそれぞれのIDソリューションを提供し始めています。

Webメディアが今後対策しておくべきことは?

最後に、webメディアがcookieレスの時代において、短期的・中長期的に取り組めることについてざっくりご紹介します。

短期的な施策
・iOS/Android毎に分けた広告運用
・ID Solutionを活用したネットワーク広告収益の改善

短期的にはこの記事で記載したように、iOSとAndroid間で単価が異なることから、それぞれに合わせた単価設定をして運用していくことがベースの収益を確保する上で重要になります。

また、Pubmatic社が提供しているIdentity HUBなどを活用することで簡易的にID Solutiionを導入し、ネットワーク広告収益を改善していくことも短期的に行える施策となっています。

中長期的な施策】
・自社1st party dataを活用した純広告商品の設計
・広告モデル以外での収益モデルの構築

中長期的には、やはりcookieに依存しない形での収益モデルを構築する必要がwebメディアビジネスとしては重要です。広告モデルの場合、ネットワーク広告だけでなく、1st party dataを着実に貯めていき、そのデータを持って広告主に純広告商品として販売していくことが必要になります。

また、昨年辺りから顕著なトレンドとなってきていますが、メディアとして広告領域、文字ベースのコンテンツだけでない領域にて収益モデルを構築していくことも重要になってきます。

New York Timesをはじめとしたグローバルメディアが成功しつつある課金モデルだけでなく、コンデナスト社のVOGUEのようにYouTube上でも自社のコンテンツを展開し、広告販売を行ったり、 株式会社WandershakeのLOCARIのように自社でもブランド商品を展開し直接ユーザーに販売している事例など、従来の広告収益だけに依存しないビジネスモデルの構築も必要になっていきます。

まとめ

ここまでで、iOS14のアップデートによるwebメディアへの影響及び短期的、中長期的にどのように対策するべきかを考察してきました。

より具体的な対策について知りたい方は、コメントにご質問くださいませ。

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