電通が発表した『2021年 日本の広告費』によると、インターネット広告費は年々伸び続けており、2021年はついにマスコミ4媒体(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)の広告費を上回ったとの結果が出ています。
インターネット広告のうち約85%を運用型広告が占めており、その中でディスプレイ広告と動画広告がどちらも130%を超える高い伸長率を示していました。
このように、広告出稿が増えている時はWebメディアやアプリなど広告を掲載する側にとっては絶好の収益機会であり、Google認定パブリッシングパートナーが果たすべき役割も大きくなります。
今回は、活躍フィールドが年々拡大しているGoogleパブリッシャー向け認定パートナーについて、認定されるまでのステップや認定されることで得られるメリットなどについて紹介します。
目次
Googleパブリッシャー向け認定パートナーとは
Googleパブリッシャー向け認定パートナーとは、Webメディアやアプリの運営者向けに、広告収益の最大化を柱とした各種サポートを行うGoogleのパートナー企業のことです。
英語では「Google Certified Publishing Partner」と表記され、頭文字をとって「GCPP」と呼ばれることもあります。
日本発の企業は4社のみ
Google認定パブリッシングパートナープログラムがスタートしたのは2015年ですが、2022年現在、Google認定パブリッシングパートナー(GCPP)に認定されている日本発の企業はわずか4社のみです。
《GCPPに認定された日本発企業》
- フォーエム:2009年設立。2015年のGCPPスタート時から認定。親会社であるAnyMind Groupも認定パブリッシングパートナー(認定オフィスはシンガポール)で、両社のプロダクトの相乗効果により強力なサポート体制を築く。
- Fluct:2008年設立。2015年のGCPPスタート時から認定。広告配信ツール「Fluct」は業界最大規模のSSP。
- ジーニー:2010年設立。2016年認定。広告配信ツールGenieeSSPを展開しており、媒体数は2万サイト以上。ソフトバンクグループ。
- アイモバイル:2007年設立。2019年認定。国内最大規模のアドネットワーク「i-mobile Ad Network」やふるさと納税支援サイトである「ふるなび」を運営。
Googleパブリッシャー向け認定パートナーの役割
Googleパブリッシャー向け認定パートナーの役割を一言でいうと、パブリッシャーが成長するためのサポートをすることです。
パブリッシャーとは、Webメディアやアプリなどのコンテンツ制作者のことを指します。
Googleには、Webメディアやアプリの収益向上のために「AdManager」「AdSense」「AdMob」といった広告プロダクトが用意されています。
Googleパブリッシャー向け認定パートナーはそれらの広告プロダクトを使い、顧客メディアの収益を最大化させるための施策を提案し、導入から運営まで幅広くサポートします。
また、提案にあたってはGoogleのプロダクトだけでなく、自社開発のプロダクトや独自のノウハウなどを組み合わせて差別化を行うため、パブリッシャー向け認定パートナーごとにサポート内容は異なります。
Googleパブリッシャー向け認定パートナーになるには?
Googleパブリッシャー向け認定パートナーになるには段階があり、まずはGoogleのパートナープログラムに参加しなければなりません。
Googleにはパートナープログラムが複数用意されており、それぞれに独自の手続きや認定要件が用意されています。
Googleパブリッシャー向け認定パートナーは、Webメディアやアプリの運営者をサポートする企業を対象としたプログラムなので、認定されるためにはWebメディアやアプリの運営者へのサポート実績や、それによってもたらされた成果が基準をクリアしている必要があります。
Googleパブリッシャー向け認定パートナーになる流れ
Googleパブリッシャー向け認定パートナーになるためのステップについて、順を追って紹介します。
①「Googleパートナープログラム」に登録する
Googleパブリッシャー向け認定パートナーになる最初の一歩はGoogleのチャネルパートナーになることです。
チャネルパートナーとは協業パートナーや販売代理店といった意味合いを持ち、サービスやツールの開発元であるGoogleと協力して新規顧客を開拓したり、既存顧客のサポートをしたりします。
②Googleによる審査
審査期間は3週間~4週間です。
審査内容は公開されていませんが、Googleではチャネルパートナーの要件として以下の4項目を掲げています。
- サイト運営者やパブリッシャーに明確な付加価値サービスを提供している。
- サイト運営者やパブリッシャーのビジネス拡大を最優先している。
- Google のサービスに関する知識を深めるよう努めている。
- 収益の最低基準を維持している。
要件にあるように、チャネルパートナーになるには、申請時点で顧客を抱え、明確な付加価値のあるサービスを提供している必要があります。
③審査に通過したら試用期間スタート
Googleの審査に通過すると、試用期間がスタートします。試用期間は6か月~12か月です。
④チャネルパートナー登録
試用期間が終了するとチャネルパートナーとして正式に登録されます。Googleチャネルパートナーになると以下のような特別なメリットがあります。
Googleチャネルパートナーになるメリット
✔️Googleが提供するチャネルパートナー向けのツールを使うことができる
✔️担当マネージャーからコンサルを受けることができる
✔️パートナー向けイベントに参加できる
⑤チャネルパートナーとして1年以上実績を積み上げる
チャネルパートナー登録後、まずは1年以上実績を積む必要があります。
チャネルパートナーマネージャーのコンサルやサポートを受けつつ、顧客であるWebメディア・アプリ運営者に対して広告収益の最大化を支援していきます。
現在、パブリッシャー向け認定パートナーになっている4社も、既存の顧客に対してGoogleプロダクトの導入、運営をサポートして一定以上の成果を上げ続けた結果、認定パブリッシングパートナーに認定されています。
なお、Googleが定める認定パブリッシングパートナーになる要件は以下の通りです。
- 新規加入の試験期間としての最初の 6 か月間を終えている
- チャネルパートナーマネージャーによる管理が開始してから 1 年経っている
- チャネルパートナーとしての最低限のパフォーマンス要件を満たしている
- 地域的な要件をすべて満たしている
- 最終認定審査に合格している
Googleパブリッシャー向け認定パートナーになる3つのメリット
Google認定パブリッシングパートナーは、Googleが「この会社は知識も実績も兼ね備えたパートナーです」とお墨付きを与えた企業なので、認定されればGoogleからのさまざまなサポートを受けられます。
主なサポートは以下の通りです。
- アカウント管理と運営サポート
- テクニカルサポートとトレーニング
- ビジネス開発とマーケティング
ここからは主なメリットを3つ紹介します。
Googleブランドで集客ができる
Googleパブリッシャー向け認定パートナーになると、Googleが認定パートナーに提供するプロダクトを使ってWebメディアやアプリの収益拡大支援を行うことができます。
提供されるプロダクトの中には、一般非公開のプロダクトもあり、パブリッシャー向け認定パートナー以外の競合との差別化が容易になります。
また、Googleが発行するバッジ(認定ロゴ)の掲出が可能となるほか、Google公式サイト経由からの集客も見込めるようになります。
つまり、Googleブランドの信頼感や知名度を活用した集客効果が期待できます。
Googleのプロダクトの知識が豊富になる
Googleパブリッシャー向け認定パートナーになると、Googleのプロダクトに関する正確な知識を身につけるため、充実したサポートを受けることができます。
専用トレーニングプログラムの提供、テクニカルサポート、認定パートナーコミュニティへの招待、担当マネージャーの割り当てなど、知見を積み上げるには十分な環境が提供されます。
Googleのプロダクトの利用方法に関しては一般ユーザーが広める都市伝説のようなものも少なくありませんが、パブリッシャー向け認定パートナーはプロダクトの開発元であるGoogleと直接、情報のやり取りをできるのでそもそもの立ち位置が全然違います。
顧客との強固な信頼関係の構築にも大きく寄与することでしょう。
扱う情報量が増える
Google認定パブリッシングパートナーにはGoogleの担当マネージャーがつき、業界の最新動向を聞いたり現場からの改善提案をしたりする情報交換の機会が設けられます。
また、世界各国のパブリッシャー向け認定パートナーが集う「Google認定パートナー世界サミット」へも招待されます。
このイベントは年に1回行われるイベントで、Googleからプロダクトに関する最新情報の発表があったり、認定パートナーとGoogleによるディスカッションが行われたりと、パブリッシャーサポートの最前線ともいえるイベントです。
常に最新のサービスや情報に触れることができるので、同業他社よりも有利な立場でビジネスを進めることが可能です。
Google認定パブリッシングパートナーのメリット
✔️Googleブランドで集客ができる
✔️Googleのプロダクトの知識が豊富になる
✔️扱う情報量が増える
Googleパブリッシャー向け認定パートナーと連携するには?
Googleパブリッシャー向け認定パートナーは以下のページで探すことができます。
利用したい「サービス」と、「サービスが提供される国」を選択すれば、条件に合う認定パブリッシングパートナーがピックアップされる仕組みです。
ちなみに、
- サービス欄⇒「広告によるウェブサイトの収益化と最適化」
- サービスが提供される国⇒「日本」
こちらの条件で検索すると24社が表示されます(2022年10月時点)。
日本発の企業は既述のとおり4社のみですが、他に20社、日本を活動エリアにしている海外企業もピックアップされました。
海外の会社はアメリカ、カナダ、インド、シンガポール、韓国、イギリスなどいろいろな国の企業がヒットします。
サービス内容は認定パートナーによって違うので、抱えている課題と求める成果を念頭に相談先を選ぶとよいでしょう。
まとめ
2015年にスタートしたGoogle認定パブリッシングパートナープログラムですが、2022年10月現在、全世界で57社しか認定されていません。
認定された日本の4社はいずれも独自ツールや独自ノウハウも組み合わせた総合的なサポートで顧客の収益を拡大させてきた実績を誇り、Googleの認定パートナープログラムが裏技なしの実力勝負の世界であることが分かります。
冒頭でも述べた通りインターネット広告は伸び続けているため、近いうちに日本で5社目の認定パブリッシングパートナーが生まれる可能性もあります。
今後も広告業界の動向にはアンテナをしっかり張っておきたいところです。
なお、広告業界の最新情報についてはフォーエムのニュースレターで勉強することができます。
<ニュースレターの内容例>
- メディア/web/app広告業界のトレンド
- メディア側の広告運用のテクニック
- 広告レイアウトの事例紹介
- PMPの事例紹介
現役の認定パブリッシングパートナーが発行するニュースレターを、是非この機会に読んでみてください。