オプトアウトとは、ユーザーに許可を得ることなく広告メールなどを配信する手法を指します。しかし、2002年に施行された「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」により、オプトアウトによるメールの配信は原則として禁止されました。

そのため、近年のデジタルマーケティングにおいては、オプトアウトやオプトインに関する正しい知識がなければ、知らない間に法律違反を犯している可能性があります。

オプトアウトを行うことで、利用者は自分の意思でクッキー機能の停止・またはクッキーを受け取った時に警告を表示することができます。

そこで本記事では、広告におけるオプトアウト・オプトインの基礎概要と、改正された個人情報保護法のポイントを詳しく解説します。正しくオプトアウトの導線を設置したいと考えているWebメディア運営者の方は、ぜひ最後までご覧ください。

広告のオプトイン・オプトアウトとは

近年のデジタルマーケティングでは、メルマガや広告メールを顧客へ送信し、商品やサービスの認知度を拡大する取り組みが増えています。

しかし、日本には個人情報保護法があるため、民間企業は個人データを第三者へ提供するためには本人の同意を取らなければいけません。

・オプトイン⇒ユーザーが第三者へ情報を利用される際などに許諾の意思を示す行為

・オプトアウト⇒オプトインの反対で許諾しない意思を示す行為

 

オプトインとオプトアウトの最大の違いは、事前に広告を送信する受信者へ送信の有無を確認しているかどうかという点です。

オプトアウトは、企業がリスト化しているメールアドレスへ一斉に広告を送信するため、受け取りを許可していないユーザーへも自動的にメールが配信されます。

しかし、迷惑メールが社会問題化したという背景もあり、2001年に「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」が成立し、2007年にはオプトイン規制が導入されました。

また、2020年の個人情報保護法の改正により、オプトアウトに関するルールに変更が見られました。改正ポイントは、以下の項目で詳しく解説します。

個人情報保護法の改正ポイント

個人情報保護法の基では、従来から個人データの中でも個人における重要な情報についてはオプトアウトで第三者へ提供することはできませんでした。

そもそもオプトアウトを使うためには、下記の要件を満たしている必要があります。

・プライバシーポリシーなどに必要な事項を記載して公表する
・個人情報保護委員会に「当社は個人データを第三者に提供するにあたり、本人の同意はオプトアウトで取る」という旨を届け出る

 

しかし、個人情報保護法の基では、上記の要件を満たしている場合でも要配慮個人情報はオプトアウトの方法で提供することができません。

要配慮個人情報とは、個人の人種、身分、身上、病歴、犯罪歴などの取り扱いに配慮を要する情報のことです。

さらに、2020年の改正により、以下の要件が新たに追加されました。

・要配慮個人情報
・不正な手段で取得された個人情報
・オプトアウトの方法による第三者提供の方法によって取得した個人情報

 

つまり、2020年の個人情報保護法の改正により、オプトアウトの方法が使えない個人データの数が増えたということになります。

冒頭でも説明したように、オプトアウト・オプトインは適切な方法で行わなければ法律違反を犯している可能性がありますので、十分に気を付けなければいけません。

オプトイン・オプトアウトが例外となる場面

事前に広告を受信するか否かを受信側が指定するオプトイン方式と、要件を満たして事前に届け出を出しておく必要があるオプトアウト方式。

それぞれ方式の導入や届け出を行っていないと違反になりますが、以下に該当する場合は例外とされています。

オプトインの例外

・取引先関係者へ送るメール
・Webメディアなどで公開されているメールアドレスへの送信
・名刺などの書面で公開されているメールアドレスへの送信

 

オプトアウトの例外

・契約や取引の履行に関する事項を通知するメールで付随的に広告宣伝が行われているもの
・フリーメールサービスを利用したメールで付随的に広告宣伝が行われているもの
・契約前段のやり取りで顧客から行われる問い合わせに対する返信で付随される広告宣伝

 

例外として許可されるオプトアウトは、広告や宣伝が主目的ではない場合に適用されます。

また、契約や取引の履行に関する通知は、メールが届かなければ受信者の不利益やトラブルに発展するリスクがあるため、例外として取り扱われています。

Webメディアがオプトインさせる方法

https://www.profuture.co.jp/mk/column/27663

オプトインは受信者側、オプトアウトは送信者側に主導権があるため、それぞれの特徴を考慮したうえで実施の手法を検討する必要があります。

ここからは、Webメディアがオプトインさせる方法を詳しく解説します。

受信承諾を得たことを明確にする

まずは大前提として、オプトインをさせるためには送信者側が受信を承諾したということを明確にする必要があります。

そのためには、送信するメールが広告宣伝目的である旨を、誰もが理解できる文言で見やすい場所に明記しておかなければいけません。

一般的には以下の場所に明記していきます。

・メルマガの登録フォーム
・企業の個人情報保護方針

 

さらに、送信者側の同意があったことを明らかにする記録も必要なので、同意した日時や方法は必ず保存しておく必要があります。

これらの条件を満たしていなければ、オプトインの受信承諾を得たことが明確になっているとはいえません。記録と保存は義務付けられている要件なので、必ず実施しましょう。

入力フォームで受信承諾を得る

オプトインでは、送信者側の承諾がなければ広告を配信できません。Webメディアでオプトインをさせる方法は、大きく分けて2つの方法があります。

一つ目は、メルマガなどの入力フォームで受信承諾を得る方法です

Webメディアにメルマガ登録や資料請求フォームなどのページを設置し、以下のようなチェックボックスを設けることで受信承諾を得ることができます。

・メルマガを購買する
・メール配信に同意する

 

送信者は自らの意志でメルマガの配信やメール配信に同意しているため、それらをチェックしてもらうことでオプトインの手続きが完了となります。

個人情報保護方針のページで受信承諾を得る

2つ目は、Webメディアに掲載されている個人情報の取り扱いを記載したページで、メール受信承諾を得る方法です。

具体的に、個人情報の取り扱いを記載したページに『当社が取得した個人情報は、当社サービスの更新やキャンペーン等のご案内に活用させていただきます』と記載します。

 

メルマガの配信や資料請求フォームにリンクを設置しておき、個人情報保護方針の閲覧を条件にしておけば、オプトインの同意を得ることができます。

Webメディアがオプトアウトさせる方法

https://www.profuture.co.jp/mk/column/27663

Webメディアがメルマガや広告を送信する場合は、オプトインだけではなくオプトアウトの方法も用意しておく必要があります。

しかし、広告を承諾していないユーザーに送信するのは迷惑メールと変わりません。現在はオプトイン方式しか認められていないため、法令違反となり刑罰が科せられます。

とはいえ、いかなる状況でもオプトアウト方式が利用できないわけではなく、個人情報保護法の改正により以下の事前申請があれば実施できるようになりました。

・個人情報を第三者提供する旨
・対象項目
・情報提供方法
・ユーザーのオプトアウト方法

 

ここからは、Webメディアがオプトアウトさせる際の方法と注意点を解説します。

ユーザーに対して方法を明確にする

一般的な思考で考えると、多くのユーザーはオプトアウトをしてほしくないと考えます。

そのため、Webメディアとの信頼関係を損ねる恐れがあるオプトアウトを実施しないようにするため、オプトアウトの方法はわかりやすく明確にすることが重要です。

オプトアウトの主導権は送信者側にありますが、受信者側が「知らない間に知らないところからメールがくる」という感情を抱かせないよう、わかりやすく明記するようにしてください。

配信停止リンクをわかりやすい場所に設置する

オプトアウト方式では、ユーザーから配信停止依頼がきた場合に速やかにメールの配信を停止する必要があります。

必要事項の明記漏れ、配信停止リンクの未設置、配信停止依頼が届いているにも関わらず継続してメールを送信するなどをした場合、法律違反に該当するため罰則の対象になります。

特に問題視されることが多いのは、配信停止リンクの場所がわかりにくいという点です。

そのため、オプトアウト方式でメールを配信する際は、Webメディアやメール内のわかりやすい場所に配信停止リンクを設置するようにしましょう。

まとめ

オプトアウトとオプトインの基本概要、それぞれの違い、Webメディアが導線を設置する際の方法と注意点を詳しく紹介しました。

メルマガや広告の送信は、ユーザーに対して高い宣伝効果がある方法ですが、現在は「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」により厳密なルールが決められています。

ルールを無視して広告メールを送信した場合は法律違反になるだけではなく、大切なユーザーとの信頼関係を崩すリスクもあるため、必ずルール内で取り組まなければいけません。

Webメディアでオプトアウト・オプトインの導線を設置したいと考えている方は、ぜひこの記事を参考に適切な施策を検討していきましょう。

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