EUのGDPRから始まり、米国カリフォルニア州のCCPA、日本においては個人情報保護法改正など、各国で個人情報の取り扱いが厳格化される動きが強まっています。

またAppleやFirefox、Googleなど各種ブラウザベンダーも仕様変更を進め、2022年にはGoogle Chrome上にて、3rd party Cookieのサポート終了が想定されています。

これは、3rd party Cookieの終焉を意味しています。

それらの代替手段として、Googleが発表しているテクノロジーが”プライバシーサンドボックス”です。このテクノロジーはWebメディア運営者にとって、明るい未来となり得るのでしょうか?

今回はプライバシーサンドボックスの簡単なご紹介と想定され得る未来について、ご紹介していきます。

プライバシーサンドボックスとは?

まずは、プライバシーサンドボックスについてご紹介していきます。

一言でいうと、3rd party Cookieに代替されるターゲティングの識別子として活用されるものです。

ポイントとしては、下記の2点です。

・人から集団へ
・サーバーからブラウザへ

順を追ってご紹介していきますが、注目すべきテクノロジーがFLoC(Federated Learning of Cohorts)です。

3rd party Cookieを活用したターゲティングにおいては、サイトの閲覧履歴などをなどを解析し、個人に対してターゲティングされる仕組みでした。

一方、プライバシーサンドボックスの場合は個人を特定するわけではなく、コホート(郡)と言われる集団に対してターゲティングをしていく仕組みとなります。

まず、下記添付の通り、ブラウザに人工知能(AI)を搭載したソフトウェアを組み込み、利用者の閲覧履歴を分析します。

次にブラウザ側で閲覧履歴を分析し、好みや関心が似たユーザーを特定の集団にまとめます。

スクリーンショット 2021-02-19 18.20.11

その集団に対して、広告主がターゲティングをして配信できるようになると言われております。

スクリーンショット 2021-02-19 18.20.22

その場合、3rd party Cookieによるターゲティングと比較して、95%以上の広告効果が得られたとGoogleから2021年1月末に公表されています。

https://blog.google/products/ads-commerce/2021-01-privacy-sandbox/

2022年までまだ時間はあるので、今後この精度が上がってくることが予想されます。今後の更なる発展に期待です。

プライバシーサンドボックスが実装されたらどうなる?

メリット

仮に上記記載の通り、3rd party Cookieに代替されるターゲティングが実現される場合は、CPMの向上に繋がるでしょう。

本メディアの『webメディア関係者必読!iOS14のアップデートは広告収益にどう影響したの?』にてご紹介した通り、iOS上では3rd party Cookieのブロックが故にCPMが下落しております。

これはターゲティング配信が困難になっているが故に起きている事象です。

特に日本国内においては、iPhoneユーザーが非常に多いので影響が大きいです。

StatCounter Global Statsが2021年1月に公表した日本国内におけるモバイルOSシェアにおけるiOSユーザーは64.00%でした。

一方、モバイルブラウザシェアにおけるSafariユーザーは60.13%でした。

故に、Safari上にてこのテクノロジーがどうなるのかはまだ未知ですが、OSはiOS、かつブラウザはChromeを利用しているユーザーにはポジティブな影響を及ぼしていくでしょう。

デメリット

ターゲティング精度が向上した暁には、基本的にないと言えるでしょう。

ただ問題視されている点としては、Google、Facebookなどのプラットフォーム企業が作り出す「ウォールドガーデン」がより強固になっていくことです。

確かにGoogle、Facebookなどのプラットフォーム企業は大量のデータを保持しているが故に、3rd party Cookieに代替されるテクノロジーを独自開発し、経済圏を作っていくことは可能だろうと考えます。

運用型広告市場全体を見たときには下記のような構図になっていくことが予想されます。

・Google、Facebookなどのウォールドガーデン
・「Unified ID 2.0」を中心とした共通ID経済圏
・コンテキストターゲティングなどの独自経済圏

これはHeader Biddingが登場した背景と同様の動きで、大手DSP / SSPベンダーが共通ID基盤を構築し、ウォールドガーデンに対抗していく動きが予想されます。

共通IDに関しては、メールアドレスをハッシュ化して共通IDに変換してターゲティングを行っていく手段ですが、まだメールアドレスを持っているパブリッシャーが少ない、かつログインしてコンテンツを閲覧しているユーザーも多くないことも相まって、確かに上記記載の懸念事項は起こりうると思います。

Webメディア運営者が今から出来ることは?

常に最新のテクノロジーをキャッチアップし、スピード感を持ってトライアンドエラーをしていく”ことが大事です。

3rd party Cookieやコロナ禍における広告市場の動向など、先行きが見えない状態が続きますが、今後の方向性やパブリッシャー自身が出来ることも見えつつあります。

Webメディア運営者がデジタル収益を最大化していくにあたって様々な選択肢がありますが、いま改めて自身のウェブサイトが持つ本質的な価値を見つめ直す機会だと思います。

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参考資料

まとめ

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