応用編の入り口となる機能Open Biddingをご紹介します。
Open Biddingは、アプリ収益化の最先端ソリューションであるアプリ内ビッディングです。
メディエーションと組み合わせることでさらに収益を高めることができます。
どんな仕組みなのか、メディエーションと何が違うのか、丁寧に解説していきます。
それでは、始めましょう!
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Open Biddingとは
Open Biddingは、アプリ内広告の収益を高めるアプリ内Biddingソリューションです。
覚えるべきは、2つです。
Open Biddingを使うと収益が上がる
メディエーションとは違う仕組みで収益を上げられる
この記事では、この2つがどういうことなのか、どうやって収益を高められるかを解説します。
Open Biddingは、アプリ内リアルタイムBiddingと呼ばれる手法で、複数の広告ネットワークを競合させることで広告単価を最大化します。
1つのインプレッションに対して、複数の広告ソースにリクエストを送る手法の一つを、前回まで詳しく解説していました。メディエーション ですね。
メディエーション も複数のネットワークを競合させることで、最も高く買ってくれるネットワークにインプレッションを渡す方式でした。
しかし、メディエーション には最も高く買ってくれるネットワークにリクエストを送れない可能性がありました。それによって、100%最適化されるわけではありませんでした。詳しく、Vol.4をご覧ください。
Open Biddingの特徴の一つに、この最高値で入札されないリスクを防ぐことがあります。
Open Biddingとメディエーションの違いや、Open Biddingが機会損失を防ぐ仕組みについては、次のセクションで解説します。
Open Biddingの仕組みは以下のようになっています。
<Open Biddingの仕組み>
1.アプリ内でインプレッションが発生
2.AdMobのSDKがOpen BiddingのBidder全てに同時にリクエストを送信
3.Bidderから返ってきた入札価格の中で、最も高いものをwinnerにする
4.winnerをメディエーショングチェーンに追加
5.winnerとメディエーショングループに追加されている広告ネットワークで、予想入札価格が高い順に並び替える(ウォーターフォールの設定)
6.ウォータフォールの上位からリクエストを送り、最初に返ってきた広告を表示する
この流れで、5以降は、Vol.4で解説したメディエーションと同じ仕組みになっています。
Open Biddingと呼ばれるものは、1.~4.のやり取りについてです。
細かい説明に入る前に、Open Biddingの特徴を押さえておきましょう。
・メディエーションチェーンより先に発生
・複数の広告ソース(Bidder)に同時にリクエストを送信
・Open BIddingで一番高い入札をした広告ソース(winner)は、メディエーションチェーンに入り、他の広告ソースとリクエストを受け取る順番を争う
Web側で広告に精通されている方は、お気づきでしょうか。Open Biddingは、Header Biddingと同様のソリューションです。
メディエーションのみの状態ですと、インプレッションが発生した時点で、メディエーションチェーン内でのウォーターフォール順の組み替えが起こります。
Open Biddingは、それに先んじて、Open Biddingに追加されている広告ネットワークにリクエストを送ります。
このとき、全てのネットワークに同時にリクエストが送られます。
メディエーション は、決められた順序で1つずつ送っては返し、送っては返し…ですが、Open Biddingは、一斉送信一斉返信完了です。
そして、出そろった返答(入札価格)で一番高いものが、winnerとなります。それ以外のネットワークは、そのオークションでの表示機会を失います。
winnerとなったネットワークは、次のステージであるメディエーションチェーンに進みます。
ここで、事前に設定されているメディエーショングループのネットワークたちの予想入札価格と競争します。Open Biddingでwinnerになれても、そのまま表示できるわけではないのです。
メディエーショングループの広告ソース
VS.
Open Biddingのwinner
でウォーターフォールが組まれます。
ウォーターフォール方式とは、流しそうめん方式でした。
【メディエーションの仕組み】
予想入札価格が高いものから順にインプレッションへ広告を返すかどうかを決められます。そして、他の誰かが広告を返した時点で、その後で待つ参加者のチャンスはなくなってしまいます。
以上が、Open Biddingの流れです。
Open Biddingを採用することで、メディエーションチェーンに新しい広告ソースを追加することができ、さらに競争圧力を高められるので、収益を高めることができるのです。
では、この仕組みでどうやって収益を高めていけるのか、メディエーション との違いは何かを見ていきましょう
Open Biddingとメディエーション の違い
Open Biddingとは、
メディエーション に先んじて、第三者ネットワークでオークションを行うことで、広告収益を高めるAdMobの機能
でした。
ここからは、Open Biddingの特徴をメディエーションと比較することで、より詳しく理解していきましょう。
Open Biddingとメディエーション の違いは、以下の表の通りにまとめられます。
Open Biddingとメディエーションの比較
特に重要なのが、
・リクエストを同時に送ること
・インプレッションが発生するたびにオークションを行うこと
・対応ネットワーク
の3点です。
一つ一つ詳しく見ていきましょう。
まず、リクエストの同時送信についてです。
Open Biddingでは、複数のネットワークに一斉にリクエスト(広告があるか、いくらで入札するかを聞くこと)を送ります。
一方メディエーション は、一つずつリクエストを送り、返事が来るまで、次のリクエストを送りません。
メディエーション ではこれにより、「レイテンシー」というものが起こります。遅れや遅延という意味です。なんの遅れかというと、インプレッションが発生してから広告が表示されるまでの遅れです。
1つのリクエストで広告が決まれば、広告が表示されるまでは、1で済みます。
ただ、これが3つのリクエストをやり取りすると、表示されるまでの時間が3倍になります。
この間に、ユーザーはスクロールしたり別の画面に移動したりしてしまいます。すると、せっかくインプレッションがあったのに、収益化できないままチャンスを逃してしまいました。
このことを、「レイテンシーによるインプレッションの欠損」と言います。
メディエーションでは、購入者が最適化されないこと以外にも、こんなリスクがあるのです。
レイテンシー発生のイメージ
ゴールにたどり着くまでの道のりが長い
そこで登場するのが、Open Biddingです。
Open Biddingでは、リクエストは同時に送られます。なので、レイテンシー(遅れ)はメディエーションに比べて減ります。これは、メディエーショングループに多くの広告ソースを追加すればするほど顕著になります。
Open Biddingでは、いくつ広告ソースを追加しても、リクエストへの応答が出揃うまでかかるのは一回分だけです。
リクエストの同時送信によって、レイテンシーが防がれ、インプレッションの欠損が起こりにくい。これが、Open Biddingの重要な特徴1つ目です。
次に、インプレッションのたびにオークションをおこなうことです。
Open Biddingでは、インプレッションが起こるたびに、一斉にリクエストを送ると解説しました。では、入札が返ってきてからはどうなるのでしょうか。
AdMobのSDKが、返ってきた入札の中で一番高いものを選んで、winnerにします。winnerはその時点で、その入札した価格でインプレッションを買うことを決めています。なので、winnerに買ってもらうことを決めれば、その入札した価格がアプリの収益になります。
このことを、RTB(Real Time Bidding)と言います。
「リクエストがあるたびに、リクエストを取り合うために入札をおこなう」という意味です。
一方でRTBではないメディエーションは、入札の前に、リクエストを渡してしまうのでRTBではありません。
メディエーション において、第三者ネットワークがその広告でいくらで買うかは、ウォーターフォールで順番が回ってきた後に決まります。
このため、メディエーションでは、ウォーターフォールの順番が必ずしもそのインプレッションを高く買う順番になっていないのです。それにより起こるのが、収益の機会損失です。予測値に基づいて、購入順が決まるため、実際に一番高く買ってくれるネットワークに買ってもらえない事態が起こってしまいます。
メディエーションは、RTBではなく、予測値で購入者が決まる。これがポイントです。
一方で、Open Biddingでは、RTBがおこなわれるので、予測値ではなく、確定した価格で競争ができます。そのため、メディエーション のように機会損失が起こる可能性を抑えられるのです。
最後のポイントが対応ネットワークの数です。
執筆現在(2020/08/18)で、Open Biddingに対応しているネットワークは13です。
メディエーション は、アダプタ対応しているものが30以上。カスタムイベントとして追加できるネットワークが70以上あります。
Open Biddingの方が実装によるメリットは多いですが、Open Biddingだけを使っても十分に収益を最大化できないのが現状です。
今後、Open Biddingに対応するネットワークの数も増えていく予定ですが、Open Biddingとメディエーションを併用して、なるべく多くのネットワークにリクエストを競わせることが収益を最大化する方法になります。
Open Biddingのメリット
前のセクションまでで、Open Biddingとメディエーションの違いを解説してきました。
ここで、Open Biddingを利用するメリットをまとめておきましょう。
おさらいをして、収益を最大にするやり方をおさえておきましょう。
書き連ねていますが、一番大事なのは、とにかく2つ。
・Open Biddingを使うと収益が上がる
・メディエーションとは違う仕組みで収益を上げられる
Open Biddingの利用方法
最後にOpen Biddingの利用方法についてご紹介します。
Open Biddingは、ベータ版として開放されており、一部のAdMobアカウントに開放される機能になっています。
この条件は公開されていません。Googleの独自審査がおこなわれ、審査に合格したアプリに対して、利用可能の連絡が来ます。
ですので、Googleからβテストへの招待が来ることを待ちつつ、AdMobを使って収益を向上させることが、利用開始の第1ステップになります。
また、Google公式パートナーと連携することで、利用審査を受けることができます。
私たちにご相談いただくことで、Googleの公式パートナー経由でGoogleにアプリを審査してもらうことが可能です。
自分のアプリ単独では条件に届かなさそうだけれど、他の収益化方法をやり尽くしていて、さらに伸ばしたい方は、ご相談ください!
Open Biddingの機能開放から、実装方法のレクチャーまで、私たちがご相談に乗らせていただきます。
Open Bidding以外でも、アプリ収益化でお困りのことはお気軽にコメントやメールでお知らせください!
まとめ
今回は、AdMob最新の収益化機能Open Biddingについて解説してきました。
メディエーションとはどのように違っていて、収益を高めるかがバッチリでしょうか。
・リクエストを同時に送ること
・インプレッション一回ごとにオークションをおこなうこと(RTB)
・これからどんどん対応事業者が増えていくこと
・利用するには、機能解放するかGoogle公認パートナーに相談するかになる
4つのポイントをぜひ覚えておいてくださいね。
次回からは、いよいよ応用編。
AdMob機能の解説から、それらをどう活用するかに入っていきます。
次回は、「アダプティブバナーの機能紹介と、広告収益最適化のためのQ&A」と題して、新機能アダプティブバナーのメリットや利用方法を解説します。
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