みなさんこんにちは、
株式会社フォーエム マーケティング事業部です!
Google AdSenseやGoogle AdExchangeで広告運用をする際、広告詐欺に遭わないか心配になる人も多いでしょう。
そのような人に知っていただきたいのが、デジタル広告の透明性を高め、広告詐欺や不正広告を防止できる『ads.txt(アズテキスト)』です。
この記事では、ads.txt登場の背景や仕組み、具体的な実装方法などをわかりやすく解説します。
目次
ads.txtとは
『ads.txt(アズテキスト)』は、悪質な広告詐欺や不正広告などの『AD Fraud(アドフラウド)』を防ぐテキストファイルのことです。
簡単に説明すると、なりすましサイト対策であり、Webサイトやアプリにads.txtを設置することで、広告主から広告枠を買い取ってもらえる機会が増えます。
ads.txtには、広告枠を販売する認定販売者であることを宣言する記述が書かれており、プログラマティック方式で透明性の高い取引が実現します。
ads.txt登場の背景
ads.txtの登場は、2017年5月まで遡ります。
当時、研究開発組織の『IAB Tech Lab』が、プログラマティック取引における不正広告、不正なインプレッションの販売を阻止するツールとして、ads.txtを発表しました。
ads.txtが生まれたきっかけは、AD Fraudの横行や広告枠(インベントリ)の再販によって、サプライチェーン取引の透明性に欠けたことなどが挙げられます。
ads(Authorized Digital Sellers)は、日本語にすると『認定されたデジタル販売者』という意味があります。
メディアは、ads.txtをWebサイトに設置して取引の透明性を示すことで、広告主と信頼性の高い取引を行えるようになっているのです。
ads.txtの仕組み
ads.txtを導入する前に、動作プロセスや設置ルールなどの最低限知っておかなければならない仕組みがあります。
例えば、誤った設置の仕方をしてしまうと広告枠に広告が表示されず、収益が減少してしまいます。
ads.txtに初めて触れる人に向けて、詳しい仕組みを解説していきます。
ads.txtの仕組み
ads.txtを動作させるには、SSPやExchangeが発行したリストをテキストファイルで作成し、サーバーにアップロードする必要があります。
具体的には、以下の情報を「,(カンマ)」で区切って記述し、『ads.txt』という名前のテキストファイルを作成します。
ads.txtに必要な記述 | 詳細 |
---|---|
SSP・Exchange ドメイン | SSP・Exchange・Header Biddingなどのドメイン名。 |
アカウントID | SSP・Exchangeから付与されたパブリッシャーのID。 |
アカウントタイプ | ディアで直接アカウントを管理する場合はDIRECT、第三者がアカウントを管理する場合はRESELLERを記述す |
認証機関ID | 広告を識別する時に任意で付与するID。 |
テキストファイルを作成した後は、ルートドメイン直下に設置することで、AD Fraudを防止することが可能です。
ads.txtの設置ルール
作成したads.txtファイルは、ルートドメイン直下に標準相対パスの形式で設置します。
- 【正しい例】https://ドメイン名.com/ads.txt
- 【誤った例】https://ドメイン名.◯◯.com/ads.txt
Content-Typeについては『text/plain』、charsetについては『utf-8』にしましょう。
ルートドメインとサブドメインの管理元が異なる場合には、サブドメインにads.txtを設置するケースもあります。
ads.txtの設置ルールを謝ると広告枠に広告が表示されないため、実装後の最終チェックは欠かさずに行いましょう。
ads.txtの有無による取引イメージ
メディアがads.txtを実装しているかどうかで、DSP(広告主側の配信プラットフォーム)による広告枠の買い付けが左右されます。
ads.txtが設置されたメディアは、プログラマティック取引に透明性があると判断され、広告枠の買い付けの対象となります。
一方で、ads.txtが設置されていなかった場合、悪意のある第三者による『なりすましサイト』の可能性が示唆され、買い付けを避けられてしまうでしょう。
DSPとSSPの関係性
ads.txtの重要性は、DSPとSSPの関係性を知ることでさらに理解できるでしょう。
DSP(デジタル シグナル プロセッサ)とは、広告主側で利用される配信プラットフォームのことです。一般的には、広告出稿の最適化を図る目的で利用します。
SSP(サプライ サイド プラットフォーム)は、広告枠を提供するメディアが、広告収益の最大化を図る目的で利用するプラットフォームです。
メディアで広告を運用するまでに、DSPとSSPの間で入札リクエストや入札結果の報告などが行われています。
DSPとSSPで行われるRTBについて
SSPは、広告枠の入札リクエストを各DSPへ行い、最高額のDSP情報をメディアに送ります。
その後、メディア側から最高額の入札をしたDSPに広告配信をリクエストする流れとなり、広告収益を最大化することが可能です。
この広告入札の流れは、RTB(Real Time Bidding)と呼ばれ、0.1秒以内に高速で自動入札が繰り返されています。
DSPによってポリシーが異なりますが、ads.txtが設置されていないメディアは、入札において不利になると考えておきましょう。
メディアにとっても広告主にとっても、広告の費用対効果を最適化するために、ads.txtは必要不可欠な要素となっているのです。
ads.txtの実装方法
ads.txtの実装方法は、SSPやExchangeによって異なり、ads.txtのテキストファイルをメディア側で作成するケースもあります。
ここでは、デジタル広告で代表的なGoogle AdSenseとGoogle AdExchange、サードパーティーSSPの具体的な実装方法を紹介していきます。
Google AdSenseの場合
Google AdSenseでは、ads.txtが未実装の時に、管理画面上部に警告が表示される仕組みになっています。
ads.txtの実装は、以下の流れで行うことができます。
- Google AdSenseの管理画面にログイン
- 管理画面の警告表示にある『今すぐ修正』をクリック
- 表示された記述を貼り付けた『ads.txt』というテキストファイルを作成
- テキストファイルとルートドメイン直下にアップロード
『ads.txt』という名前のテキストファイルを自分で作成する必要があるため、記述を誤らないようにくれぐれも注意してください。
サードパーティーSSPの場合
サードパーティーSSPにads.txtを実装する場合、事業者によって実装方法が異なります。
例えば「fluct」では、以下のような流れでads.txtを実装可能です。
- サードパーティーSSPの管理画面にログイン
- ads.txtの実装に関するリンクをクリック
- 指定された記述でads.txtファイルを作成
- FTPなどでads.txtファイルをアップロード
メディアに複数のSSPを利用している場合は、全てのSSPの記述を入れるようにしましょう。
アプリの場合『app-ads.txt』を実装する
アプリでAD Fraud対策を行う際は、『app-ads.txt』という名称のテキストファイルを作成し、メディアにアップロードする必要があります。
Webサイトの場合、Advertiserが直接アクセスし、ads.txtファイルのクローリングを行います。一方でアプリの場合は、App storeやGoogle playをクローリングして、app-ads.txtファイルが設置されているかどうかチェックしているのです。
app-ads.txtの実装方法
app-ads.txtファイルに必要なコードは、AdMob公式サイトで発行されます。
以下の流れに沿って実装しましょう。
- AdMob公式サイトにログイン
- メニューの『アプリ』をクリック
- 『すべてのアプリを表示』→『APP-ADS.TXT』をクリック
- 『APP-ADS.TXTの設定方法』をクリック
- 指定された記述でapp-ads.txtファイルを作成
- ルートドメイン直下にファイルをアップロードする
近年、広告予算がWebからアプリにシフトする動きが見られています。
そのため、自社アプリを運用するメディアは、広告収益の最大化にapp-ads.txtが必要不可欠となると考えておきましょう。
まとめ
ads.txt(アズテキスト)は、悪質な第三者による広告詐欺や、不正広告を防ぐ目的で生まれたテキストファイルのことです。
ads.txtを実装するにあたって、SSPやExchangeから発行されたコードでads.txtファイルを作成し、Webサイトのルートドメイン直下に設置する必要があります。
DSPは、各メディアでads.txtが設置されているかどうかを判断し、広告枠の買い付けを決定しています。ads.txtが設置されていない場合、買い付け対象外となってしまうため、広告収入を上げるためにも必ず実装するべきです。
これからads.txtを実装する場合は、Google AdSenseやGoogle AdExchangeなどの実装方法をぜひ参考にしてください。
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