みなさんこんにちは。App Consultantの香川です。

今回は、アプリ運営に欠かせない「KPI」の中でも、広告マネタイズ領域に関するKPIについて解説をしていきます。
自分のアプリで広告を表示してマネタイズしているかたは、ぜひお読みください。

この記事では、アプリ内に広告を表示するとどうして収益が発生するのか、から解説することで収益がどうやって決まっていくのかを解説します。


前提となる知識があることで、今後改善が必要なときにどんなことが背景にあって問題が起こっているのかを把握することができるようになりますよ。

・アプリ内広告の仕組み
・アプリ内広告のKPI
・KPIが下がった時にできる対策

の3点に絞って解説していきます!

アプリ内広告の仕組み

広告だらけのウェブサイトのイラスト(スマートフォン・タブレット)

AdMobやUnity Ads、Facebook Audience Networkなどのサービスに登録して、SDKをアプリに統合すると、アプリ内に広告を表示できるようになります。


アプリ内に広告を表示することで、収益を得られるようになります。

では、私たちが受け取るこの広告収益はどこからやってきているのでしょうか。


残念ながら、お金を出してくれる魔法のランプがあるわけではなく、広告主と呼ばれる企業や個人がお金を払ってくれています。

では、広告主はなぜお金を払うのでしょうか。
それは、お金を払う代わりにあるものを買っているからです。
広告主が買っているもの、何かわかりますか?

広告主が買っているのはズバリ、アプリユーザーの目線・意識・関心・興味です。


広告とは、サービスや商品を広めるためのものですが、この「広める」とは、それまで知らなかった人にサービスや商品を知って、覚えて、興味を持ってもらうことです。


つまり、「広告をする」には、サービスや商品に興味を持ってくれる「人(消費者)」が必要なのです。


そこで、広告主はこの「広告をする」対象として皆さんのアプリの広告枠を買っているのです。


もう少し正確に書くと、

広告主は、アプリ広告枠を買い付けて広告を表示することで、そのアプリに注がれているユーザーの意識や関心に自分のサービス・商品を割り込ませて興味を喚起している

のです。


難しいし、長ったらしいですね。。汗

広告主は、ユーザーをアプリを通じて集めてくれた開発者に「色んな人に広告をするチャンスをくれてありがとう」という謝礼を払っているのです。

画像2

ここから言えるのは、
広告主がは、広告をしたいユーザーが多く集まっているところに多くお金を払う
ということです。

これは、ユーザー1人あたりに支払う額でも多くなりますし、総額として支払う額が多くなるということでもあります。

なので、アプリの広告収益は大きく2つの要素で決まります。

1.どれだけのユーザーがいるか(インプレッションがどれだけ発生するか)

2.集まっているユーザーが広告主が広告をしたいユーザーかどうか(広告主にとってどれだけ価値のあるユーザーか)

ここまでで、

・アプリの収益は広告主が支払っている

・広告主は、多くの人にサービスや商品へ興味を持ってもらうために広告をしている

・広告主は、広告をする相手を集めてくれたお礼として広告費を払っている

・アプリの収益は、広告主にとって価値があるかどうかで決まる

・広告主にとっての価値は、どれだけ多くの人に興味を持ってもらえるかできまる

・広告主は興味を持ってくれる可能性が高いユーザーには高い費用を払ってでも広告をしたい

というポイントを解説してきました。
次からは、この観点が実際よく用いられる指標にどう反映されているのかを解説していきます。

アプリ内広告のKPI

プレゼンをする女性のイラスト

アプリ内広告のKGI(ゴール、達成したい目標)を収益額とすると、KPIは大きく2つの要素の掛け算になります。

(KGI)売上 = viewable Impression X eCPM

この式は、上で紹介した 広告主がは、広告をしたいユーザーが多く集まっているところに多くお金を払う

という広告の基本を反映しています。

viewable Impressionとは、視認可能なインプレッションを指します。

インプレッションとは、広告が画面上で表示された回数のことです。

viewable=視認可能、とは実際にユーザーがその表示された広告を目で見たかどうかを示す指標です。


アプリ画面が読み込まれて、広告が表示されても、その位置がスクロールしないと画面内に出てこない部分だと、広告主の目的である人に新しく興味を持ってもらうが達成できません。


そのため、アプリ内広告ではシステム的に読み込まれたImpressionの数よりも、実際にユーザーに見られたvimpを重視する傾向にあります。

この発生したインプレッションのうち、どれだけがviewableだったかを示す指標がViewability(視認可能率)です。


この指標が高いほど、広告主にとって効果的な広告枠だと言えるので、Viewablityが高い枠は後から解説する広告単価が高くなりやすいです。

eCPMとは、effective Cost Per Milleの略です。


1,000回のインプレッションあたりに支払われる収益を表しています。
Milleは、1,000の意味があります。


簡単に言うと、表示されるごとの単価です。ただし、1回あたりの額がとても小さくなるため1,000回表示ごとにまとめて計算することが慣例になっています。
eCPMは、広告主にとってどれだけ価値があるかを示す指標です。
どれだけ効率よく消費者に興味を持ってもらえるかどうか、がeCPMで表されているといえます。

広告主の目的は、自分たちのサービス・商品に興味を持ってもらうことですので、誰にも見てもらえないところに広告は出しません(先程のViewabilityが重要なのはこのためです)。


逆に、効率よく興味を持つ人を獲得できるなら、高く支払っても費用対効果は高くなります。なので、獲得効率が高い広告枠には高いeCPMを支払います。

獲得効率が高いかどうかを測る指標に、CTR(Click Through Rate)があります。
広告表示回数に対して、どれだけクリックされたかを示す指標です。

広告をクリックする=サービス・商品に興味を持った

と言えるので、同じインプレッション数ならCTRが高い広告枠の方が高い収益が見込めます。
また、広告主がクリックされるたびに報酬を支払うパターンではクリックあたりの収益を、CPC(Cost Per Click)で表します。

ここまでの議論をまとめると、

売上 = vImp x eCPM

vImp = インプレッション数 x Viewability

eCPM = CTR x CPC

にそれぞれ分解できることがわかりました。

なので、基本的にはこの4つの指標が変動することで収益も変動します。

次は、この4つの指標が下がった場合、どういった対応をすればいいのかを解説します。

KPIが下がった時にできる対策

アプリ内広告の収益は、

インプレッション数 x Viewability x CTR x CPC

に分解できます。
つまり、収益が下がる時は、4つのうちどれかが下がっていると言えます。
いずれも、AdMobなどの広告配信サービスのレポートで確認できる指標なので、売り上げを確認する際に一緒に確認するようにしましょう。

ここからは、実際にこれらの指標が下がってしまった時に、どんな原因が考えられるのか・どう対処すればいいのか、の2点を解説します。

■インプレッション数が下がったら
1日あたりのインプレッション数は、

DAU x セッション数/DAU x 広告リクエスト回数 x fill Rate

の4つの要素に分解することができます。

広告リクエスト回数は、SDKが広告表示するための挙動を開始した回数
fill Rateは、発生したリクエストのうち実際に広告が読み込まれた割合
を示しています。
この2点は、サーバーエラーや実装上のトラブルなどで0に近くなる場合があります。
DAUやセッション数に変化がないのにインプレッション数が下がったら、 ・正しくリクエストは送れているか
・ リクエストに対して広告が返されているか

をテスト環境などで確かめましょう!

■Viewabilityが下がったら
Viewabilityが下がる要素には、 ・広告表示処理に時間がかかっている
・広告枠が正しくレンダリングされていない
・デザイン・レイアウトの変更でユーザーが広告枠がある位置まで画面移動しなくなった

などの要素が考えられます。
前2つのような技術上のトラブルがないかは、定期的にチェックしましょう。

メディエーションで多くのソースをつないでいると、広告表示までに時間がかかりすぎているケースがあります。その場合は、eCPMが低いソースから外すようにしましょう。
最後の例のようなUI上の変更によるものの場合、バグや他の広告枠の評価低下を防止するため撤去を検討しましょう。

■CTR / CPCが下がったら
CTRとCPCは双子の関係にあります。
CTRが高い広告枠は、高いお金(CPC)を払っても費用対効果が保てるので、CPCが高くなっていきます。
逆に、CTRが低い広告枠には、CPCが安くなってしまいどうにも改善できなくなってしまうケースもあります。

これらの原因は大きく2つです。 ・広告がユーザーに魅力的に見える形で表示されていない
・広告のクリエイティブがユーザーの興味関心に響かないものになっている

一つ目は、シンプルに広告の内容が伝わっていないケースです。
例えば、広告枠が小さすぎて何のサービス・商品についての広告かわからなかったり、画像やテキストが歪んでレンダリングされてしまっておりレイアウト上美しくなかったり、ユーザーが不快に思うような画像やテキストが表示されてしまっていたり、外国語で表示されるなどユーザーが内容を理解できない広告であったり、などのケースが考えられます。

二つ目は、ターゲットズレと言える現象です。
例えば働き出したばかりの20代男性に女性向けの高級ジュエリーを勧めても滅多にクリックはされないでしょう。

これら2つの原因は、使用している広告ソース(AdMobやFacebookなどのネットワーク)がアプリとマッチしていないために起こるケースがほとんどです。
アプリに表示される広告は、広告ソースが持っている広告の中から出ません。
なので、自分のアプリに広告を表示することが効果的になる広告を持っている広告ソースを使うことが重要です。
複数の広告ソースを試してみて、CTRやCPCが高くなるものを中心に配信できるように設定すると安定して収益をあげることができるでしょう。

まとめ

今回は、『もっと広告で効率よく稼ぎたい!アプリ広告KPIを理解して、課題を発見できるようになる記事』と題して、アプリ内広告領域におけるKPIとその運用方法に関して解説してきました。

アプリ内広告は、みられた回数と、1回あたりの金額というシンプルな2つで理解できます。
まずは、それぞれに改善の余地がないかを確認しましょう。
また、もっとあげるための方法や下がった時の対処法も合わせて確認してみてくださいね。

マネタイズ領域に限らず、アプリ運営で重要なのは継続してPDCAを回していくことです。
そのために、記録と計測は欠かさず丁寧に行いましょう!
使っているツールのレポート機能はわからないことがないくらい使い倒しましょう!

AdMobのレポート機能について解説している記事があるので、AdMobをお使いの方はぜひ参考にしてみてくださいね

「質問がある!」
「記事読んでみたけど、ここがわからない!」
「このところをもっと詳しく解説してほしい」
などのリクエスト絶賛募集中です。
読んでよくわからなかったところなどぜひコメントにてお寄せください!

「個別に相談がしたい!」
「自分のアプリにアドバイスが欲しい」
「Firebase活用を進めたいけど、やり方がわからない」
という方は、↓をチェックしてみてください↓

画像3

毎週ニュースレターを配信しています。無料で購読できるので、ぜひご登録ください!

メルマガ_CTA_note用_v5