みなさんこんにちは。App Consultantの香川です。
今回は、10/27,28にオンラインで開催されたFirebase Summit2020で発表されたFirebaseの新機能の中から、BigQueryとの連携についての新機能について考察していきます。
今回のFirebase Summitで、BigQueryへのデータのインポートが可能になることが発表されました。
また、それに合わせてインポートしたデータに基づいたセグメントのFirebase上での使用もできるように!
今回は、この新機能を使うとどんなことが可能になるのかを事例レベルで考えていきます。
あくまで、筆者の妄想ではありますが、Firebaseを使って開発やアプリマーケを実施している方の参考になれば幸いです。
この記事では、
・Firebase Summitって何?
・BigQueryとFirebaseの連携の新機能って?
・新機能の活用はどんな場面で活用されるのか?
という内容を整理しながら考察していきます。
目次
Firebase Summit 2020の内容とキャッチアップすべき理由
本題に入る前に、Firebaseとは何かから簡単にご紹介します。
FirebaseはGoogleが提供している、モバイル開発プラットフォームです。
Firebaseは複数の機能・アプリケーションの統合されたものであり、アプリの開発・テスト・ユーザー体験向上・機能拡張まで幅広い用途で使用することができます。
2020/11月現在、Firebaseには、18のアプリケーションがあり、11種類の拡張機能が用意されています。
Firebase HP(https://firebase.google.com/)より
また、Googleが提供するサービスであるために、BigQueryやGoogle Cloud Platform(以下、GCP)、AdMob/Google 広告との連携が可能となっています。
Firebase Summitとは、Googleが毎年開催しているFirebase利用開発者向けのプロダクトアップデート発表の場です。
主には、Firebaseの新機能発表がそのコンテンツですが、それ以外にも、
・ハンズオンでのFirebaseを使ったアプリ開発体験 ・既存Firebase機能の活用方法に関するレッスン ・FirebaseプロダクトエンジニアなどとのQ&Aセッション
など、Firebaseを使い始める・レベルアップするのに最適な場となっています。
今年は、社会情勢を受けて史上初オンラインでの開催となりました。
多くのコンテンツが、オンデマンドの動画として公開されており、知りたい内容を後から復習できるようになってますよ。
BigQueryからのインポートに関するアップデート
今回取り上げるアップデートについても、内容を簡単におさらいしましょう。
今回発表されたアップデートとは、GCPであるBigQueryとの連携についてです。
FirebaseとBigQueryは元から親和性が高いプロダクトでした。
Firebase内のアナリティクス(Google Analychics for Firebase)に溜まったデータをBigQueryにエクスポートすることで、管理画面より自由度の高い分析ができるのがFirebaseの特長でした。
今回発表されたアップデートは、その逆が可能となるニュースです。
BigQueryで設定されたカスタムユーザーセグメントがFirebaseにインポートすることができるようになりました。
この機能によって、Firebaseにインポートされたセグメントは、Remote Config, Cloud Messaging, In-App Messagingなどの機能を使うときのターゲティングセグメントとして設定できるようになります。
BigQueryが扱える人にとっては、より柔軟に思ったセグメントにプッシュ通知やアプリ内メッセージを出せるようになります。
また、アプリ内のユーザー情報とアプリ外のユーザー情報をFirebaseに統合することができるようになるので、アプリ外に溜まったデータをアプリ運営に活用することができます。
ではここからは、その機能はどんな場面で活用できるのか(妄想ベースで)考察していきましょう!
新機能の活用例⑴ 小売店舗とECアプリの連携
【使うFirebaseの機能】
・Google Analytics for Firebase(GA4F) ・Cloud Messaging ・In-App Messaging
例えば、ECアプリと実店舗アプリの両方を展開している場合に、アプリの外側に溜まっているデータをプッシュ通知などに活用することができます。
店舗会員カードに紐づいたデータをFirebaseにインポートすることで、最近店舗で買い物をした会員にアプリでレビューを依頼するアプリ内メッセージを送ったり、購入した商品と類似の商品を勧めたりすることができます。
OMOと言われる中で、スマホ(Online)での体験とリアル店舗(Offline)の両方を結びつけて考える必要があるとされています。
Firebaseのこの機能は、リアル店舗を持っているサービスにとって、よりその意味を高めることができるようになりますね。
新機能の活用例⑵ フィットネスジムと会員向けアプリの連携
【使うFirebaseの機能】
・Google Analytics for Firebase(GA4F) ・Cloud Messaging ・Predictions ・Remote Config
こちらもOMOの事例として考えられるものです。
先程の小売店と違う点は、顧客が月額費を払って来ることがわかっている点です。
つまり、購入が発生しなくても売り上げは発生している状態です。
となると重要なのが、退会せず継続して月額費を支払い続けてもらうになります。SaaSも含めて、こういった月額制サービスではチャーン率(離脱率・退会率)が重要になってきます。
そういったビジネスにおいて、
どのユーザーが退会しそうか
がわかったらとても便利だと思いませんか?
なぜなら、退会しそうなユーザーを特定して対応することで、継続してもらえれば新しい顧客を獲得したのと同じ利益が生まれるからです。
(この辺りの既存顧客維持の重要性については、詳しくてわかりやすいnoteがいっぱいありますのでそちら読んでみてくださいね)
少し長くなりましたが、今回のアップデートでその便利なことが実現できるようになる(かもしれない)んです。
Firebaseには、Predictionsという機械学習モデルを活用した機能がついています。
これは、GA4FをはじめとしたFirebaseに溜まったデータを学習データにして、さまざまなアプリ内予測を可能にする機能です。
代表的な使い方が、アプリ離脱率の予測です。
従って、来店頻度や滞在時間、入会してからの期間やプラン変更など店舗でのサービス利用に関するデータをFireabseにBigQueryからインポートすることで、Predictionsの学習データとして使用できるようになる可能性があります。
Predictionsの予測結果に基づいて、退会が予測されるユーザー行動の特徴量を抽出することができれば、Remote Configを使ってそのユーザーセグメントにだけアプリ内でそのユーザー専用のクーポンをプッシュ通知で送ったり、来店を促すプッシュ通知を送ることができるようになるかもしれません。
また、その予測結果をBigQueryでアウトプットすることで、アプリ外でのメルマガ配信や、DM送信の対象作成に活用できる未来もあり得ます。
一言で言うなら、今回のアップデートは、自社のデータに機械学習を無料で導入することができるようになるアップデートと言うポテンシャルを秘めています。
Predictionsの機能は、Firebaseに登録していれば誰でも無料で使える機能です。
従来から、アプリ内データに基づいた学習は可能ですので、この機会はぜひ試してみてください。Firebase Predictionsfirebase.google.com
新機能の活用例⑶ 他サービスとのコラボパフォーマンス計測
【使うFirebaseの機能】
・Google Analytics for Firebase(GA4F) ・Remote Config ・In-App Messaging
3つ目は、オンライン同士での活用事例です。
アプリで他アプリやサービス・コンテンツとのコラボキャンペーンを実施したとします。
例として、サッカーゲームアプリでプロサッカーチームとのコラボイベントを実施した例で考えてみましょう。
アプリ内でキャンペーンコードを発行して、サッカーチームのファンクラブメンバーがスタジアムで使えるクーポンを発行しました。
その利用タイミングや利用内容がキャンペーンコードに紐づいてサッカーチームのデータベースに記録されます。
これまでは、そのデータをアプリ内のユーザー情報と紐づける方法がなく、コードを発行して実際に使ったかどうかが計測できませんでした。さらに、実際に利用したユーザーをアプリ内で判別することができず、コラボキャンペーンをそれ以上広げることはできませんでした。
ここに、今回のアップデートを取り入れると、キャンペーンの利用結果がアプリ内のユーザーごとに理解できるだけでなく、第2回・第3回のキャンペーンをそれまでの利用結果に応じてユーザーごとにコンテンツを企画することができるようになります。
また、
・コラボキャンペーンに参加しなかったユーザー
・キャンペーンコードを発行したが、スタジアムに行かなかったユーザー
・キャンペーンコードを発行してスタジアムに行ったが、利用しなかったユーザー
・キャンペーンコードを発行して、実際に利用したユーザー
とセグメントがアプリ内で可能になりますので、そのセグメントごとにアンケート内容を変えることでより精緻なコラボ結果をレポートできるようになります。
まとめ
今回は、『新機能の使い方を徹底考察!BigQueryへセグメントインポートできるようになってできることを考える記事(Firebase Summit 2020)』と題して、先月発表されたばかりのFireabse最新機能の利用例を考察してきました。
技術的な詳細は発表されていないため、この記事の中で紹介した事例はすべて、「できるようになるかもしれない」予想ばかりです。
より詳しい情報を待って、実際にどんな利用ができるのかはまた発表したいと思っています。
そちらの記事も、ぜひお楽しみに!
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