今回は、Vol.6で紹介したOpen Biddingにつづいて、AdMob新機能をご紹介します。
紹介するのは、AdMobに実装される新フォーマット「リワードインタースティシャル(Rewarded Interstitial)」。
アプリ広告を代表する高収益フォーマットであるインタースティシャルと動画リワードの良いところを組み合わせたリワードインタースティシャル(以下、リワードインステ)の特徴から実装方法、そして現時点でわかっているリワードインステの運用方法までを解説していきます。
それでは、始めましょう!
目次
リワードインステの概要
リワードインステの概要から始めましょう。
リワードインステは、正式にはリワードインタースティシャル広告というフォーマットです。
リワード+インタースティシャルということですね。
インタースティシャル(interstitial)とは、「侵入型の、介在の、中間部の」という意味を持つ英単語です。
つまり、インタースティシャル広告とは、画面遷移の「間に入り込む(=インタースティシャルな)」広告なのです。
そして、リワードインステは、リワード広告にインタースティシャル要素を取り入れたものです。
今までのリワード広告は、ユーザーが自分からリワード広告を利用することを選んで利用するフォーマットでした。この、利用して動画利用画面に入る(イン)ことを選ぶ(オプト)形なので、オプトイン方式といいます。
しかし、リワードインステは逆です。
リワードインステでは、まずはじめに、リワード広告の案内画面をアプリ利用中に表示します。
ここで、ユーザーはそのままリワード広告利用をするか、リワード画面を利用しない(アウト)かを選ぶ(オプト)ことになります。
リワード広告の欠点として、リワード広告機能に気づいていないユーザーを収益化できない点がありました。
ユーザーが利用するかどうかを自分で決められるため、ユーザーに不快な思いをさせることが少ない点がリワード広告の利点でした。
しかし、リワード広告があることに気づいてもらえなければインプレッションが発生せず、その特徴を活かせないことにもつながっていました。
リワードインステは、インタースティシャルの要素を組み込むことで、この欠点を克服したと言えます。
以上を踏まえた、リワードインステの特徴は3つです。
1.リワード広告なみの収益単価
2.リワード広告よりも高い利用率
3.動画を見るかをユーザーが選べることで、不快感を与えずに収益化をおこなえる
それぞれについて、詳しく見ていきましょう
1.リワード広告なみの収益単価
リワードインステは、新しいフォーマットですがそのなかで配信される広告は従来のリワード広告と共通です。
ですので、リワードインステから得られる収益単価は、動画リワードと同等になります。
Googleが一部明らかにしている情報によると、動画リワード広告のeCPMはおよそ1,000円前後であり、リワードインステも同等のパフォーマンスが見込まれます。
2.リワード広告よりも高い利用率
特に、収益に直結する特徴です。
リワードインステは、インタースティシャルの特徴を持っているので、ユーザーにリワードをゲットできることを実装したタイミングで知らせることができます。
これにより、
・リワード広告を利用していた人の利用頻度を高めること
・リワード広告の存在を知らなかった人
・リワード広告を利用する行動が面倒で利用していなかった人
にリワード広告を利用してもらいやすくなります。
つまり、リワードインステを実装することで、リワード広告の利用回数を伸ばすことができます。
単純にインプレッションを増やすことができますので、その分収益が増加します。
3.動画を見るかをユーザーが選べることで、不快感を与えずに収益化をおこなえる
リワードインステは、オプトアウト方式の広告フォーマットです。
ユーザーは利用しないことを選ぶことができます。
リワード広告を利用して報酬をゲットすることも、リワード広告を利用しないでアプリ利用にすぐ戻ることも、毎回その時に選ぶことができます。
ですので、広告が邪魔に感じることや、見たくない広告でアプリ自体に不快感を持つことはインタースティシャル広告より少なくなります。
以上を踏まえて、リワードインステをリワード広告とインタースティシャル広告と比較しましょう
リワードインステの導入イメージ
リワードインステを実装するやり方を見ていきましょう。
大きな順番は以下の流れです。
1.イントロダクション画面を用意する
2.SDKを最新版にアップデートする
3.Googleか公認パートナーに利用申請をし、審査をしてもらう
4.(利用許可が出たら)AdMob管理画面でユニット作成をする
5.コード記述を行い、実装する
ここでは、
1.イントロダクション画面を用意する
3.Googleか公認パートナーに利用申請をし、審査をしてもらう
の2箇所について詳しく解説します。
それ以外のパートに関して、実際の利用をされたい方限定に案内しますのでコメントやTwitter DMからお問い合わせください!
1.イントロダクション画面を用意する
イントロダクション画面は、ユーザーがオプトアウトするかどうかを決めるための動画再生前にこれからリワードインステ利用に進むことを知らせる画面です。
ここで盛り込む必要のある情報が指定されています。以下の情報を盛り込んでイントロダクション画面を作成しましょう。
【要素】
・イントロダクション画面が他のアプリ画面と明確に区別できるレイアウトであること
・動画視聴で得られる報酬の具体的な説明(例:ビデオを見て、ジェム5個をゲット)
・動画を視聴せずアプリ利用に戻るボタン(オプトアウトボタン)
【設定】
・動画再生に進むかどうかをユーザーが選択できるだけの十分な時間
3.Googleか公認パートナーに利用申請をし、審査をしてもらう
リワードインステは、β版機能であり、一部のアカウントにのみ開放されています。
そのため、ご自身のAdMob管理画面にリワードインステのユニットが表示されていない場合、利用開始のための手続きをする必要があります。
しかし、執筆段階(2020/09/02)ではGoogleは利用申請受付をおこなっていません。
そのため、利用開始するにはGoogleからの案内を待つか、Googleの公認パートナーへ利用したいことを伝えるしかありません。
利用審査に万が一落ちてしまっても、その後のAdMob利用に影響は出ません。
特段のデメリットはありませんので、少しでも興味があれば、わたしたちにご相談ください。この記事へのコメントの他、TwitterのDMやメールでお知らせくださいね!
リワードインステ表示のタイミング
リワードインステを利用するとして、どんなタイミングで利用できるかを説明していきます。
リワードインステの利用タイミングは、大きく4つが考えられます。
現在どんなフォーマットをどの程度利用しているかに合わせて、リワードインステ実装の方法を考えてみましょう。
a.既存の広告枠に追加してリワードインステを実装
b.コンテニュー画面など、アイテムを消費するタイミングでリワードインステを表示
c.利用率の低いリワード枠に替えて、リワードインステを実装
d.インステ枠に替えて、UXを高めるリワードインステを実装
特におすすめなのが、bと dの2つです。
コンテニュー画面などユーザーがアイテムを消費する必要があるタイミングでリワードインステを表示することで、利用率を高める+UXを高めるという2つの効果を狙えます。
また、ユーザーにリワードなしで広告を表示するインステ枠に替えて、リワードインステにすることでUXを高めることができます。
また、リワードインステを実装する際に、リワード広告を残しておくことも重要です。
リワードを受け取りたいユーザーに、オプトイン型のリワード広告を実装しておくことで、ユーザーがリワードを受け取る機会を増やすとともに、収益を最大化することができます。
リワードインステのメディエーショングループ
最後は、リワードインステでメディエーションをおこなう方法についてです。
現在、リワードインステのフォーマットを提供しているのは、AdMobとFacebook Audience Network(FAN)の2種類です。
ですので、リワードインステでメディエーションをおこなうにはFANを利用することになります。
他フォーマットと同様に複数のネットワークを競わせることで収益を最大化できます。
その仕組については、Vol.4を参考にされてみてください。
⇨「AdMobメディエーショングループ①」
リワードインステでも、メディエーションの設定はほかフォーマットと同様です。
設定の方法については、Vol.5で詳しく解説しています。参考に設定してみてください。
⇨「AdMobメディエーショングループ②」
まとめ
今回は、ここまでリワードインタースティシャル広告について特徴から実装方法、実装のタイミングまでを解説してきました。
リワードインステは、AdMobでβ版として開放された新しいフォーマットで、動画リワードの弱点を克服したものです。また、インステや動画リワードなどの既存フォーマットと組み合わせることで、収益の成長を見込めます。
次回は、アプリ内広告枠位置の設計についてです。
これまで解説してきたAdMobの機能を使って、どこに広告を入れるのがいいのかについて解説していきます。
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